ナンバーガールとは、邦楽ロックに絶大な影響を与えたオルタナティブ・ロックバンドです。

彼らの功績や機材(ギター・エフェクター)、解散後の活動や伝説などをまとめました。

 

ナンバーガールの音楽性

初期ナンバーガールは、ピクシーズ(pixies)やソニックユース(sonic youth)などの影響が色濃いオルタナティブ・ロックでした。

ただし、ポスト・ハードコアやエクスペリメンタル・ロックと括られることも少なくありません。

さまざまなジャンルにカテゴライズされることがあるのは、初期と後期で音楽性が違うからだと思います。

⇒『ナンバーガールのジャンルはオルタナティブかエモか?』のページに行く

初期ナンバーガールが受けた音楽的影響

事実、向井秀徳氏は「将来は禿げて太って、フランク・ブラック(ピクシーズのギターボーカル)みたいになりたい」と発言していたり、ピクシーズとハスカー・ドゥを足したと思われる『PIXIE DU』という曲を書いていたりします。

また、札幌ハードコア・パンクにも関心があるようで、イースタンユースやbloodthirsty buchers、同時期に活躍していたCOWPERSなどの名前がライブのMCに挙がっています。

このことから、fugaziなどのUSハードコア・エモ文化にも関心があったと考えてもよいかもしれません。

ソニックユースとの比較は以下の記事にまとめました。

⇒『ナンバーガールとソニックユースの共通点』のページへ行く

後期ナンバーガールが受けた音楽的影響

後期になるにつれ54-71のようなレゲエ・ダブ、tha blue herbをはじめとしたヒップホップにも接触したりと、ナンバーガールの音楽性は進化します。

このあたり、パンキッシュでハードコアな音楽性を追求していた中尾憲太郎氏と折り合いがつかず、ナンバーガールが解散したという意見もあるようです。

メンバーのその後の音楽を聴きながら、管理人なりに解散の原因や再結成の可能性を考察する記事を書きました。

⇒『ナンバーガールが解散した理由と再結成の可能性』のページへ行く

ナンバーガールのディスコグラフィ(アルバム)

1997年:SCHOOL GIRL BYE BYE

ナンバーガールがインディーズ時代にリリースしたアルバム。

『OMOIDE IN MY HEAD』や『IGGY POP FANCLUB』など、初期を代表する楽曲も収録されています。

オルタナティブ・ロックの要素を持ちながら、ギター・ポップからの影響が色濃く残る作品です。

1999年:SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT

ナンバーガールのメジャーデビューアルバム。

メジャー作品とは思えないローファイな音質は、向井氏がオルタナティブ・ロックな作品にしたかったからと考えられます。

『透明少女』も収録されており、ナンバーガールの存在を世間に知らしめた重要な作品です。

管理人はこのアルバムに一番思い入れがあります。

⇒『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICTの全曲レビュー』のページに行く

2000年:SAPPUKEI

ウィーザー(Weezer)やモグワイ(Mogwai)のプロデューサーも手掛けたデイヴ・フリッドマンが担当した2ndアルバム。

当然ながら前作に比べて音質は圧倒的に向上し、硬質で冷たいサウンドはすでにナンバーガールが完成したバンドであると感じさせます。

2002年:NUM-HEAVYMETALLIC

ラストアルバムとなった3rdアルバム。

『Num-Ami-Dabutz』のようにヒップホップを大胆に取り入れた楽曲は、すでにZAZEN BOYSにも通ずる世界観です。

また、『Tombo electric bloodred』ではプログレッシブ・ロックバンド、イエス(yes)をオマージュしており、音楽的造詣の深さも感じさせます。

ナンバーガールの代表曲『透明少女』

ナンバーガールの代表曲と言えば、『透明少女』ではないでしょうか。

疾走感あるギターとベース、スキあらば詰め込まれるドラムのフィルイン、金属的なサウンド。

少し散文的にも取れる歌詞、どこがサビかわかりにくい曲構成ですが、そのあたりも含めてロック史に残る理由かもしれません。

「ロック=焦燥感」という表現もとても若者的で、このあたりも多くのフォロワーが多用していたと思います。

その他にも管理人がおすすめするナンバーガールの名曲をランキング形式で10曲まとめました。

⇒『ナンバーガールのおすすめ10曲をランキング形式でまとめてみた』のページへ行く

ナンバーガールが日本のバンドマンの音楽的教養と呼ばれる理由

短期間で解散したナンバーガールですが、日本のバンドマンにおける音楽的教養となりました。

少なくともロキノン系と呼ばれるジャンルでは、リスペクトするバンドマンが多数います。

ここでは、ギターサイトらしく音楽や演奏的特徴を、特にギター中心に深掘りしてみました。

スタープレイヤー集団

ナンバーガールは、とにかくスタープレイヤーが集まっていたのだと思います。

 

冴えないメガネながら、変態的な歌詞とシャウト、金属的なギターサウンドを奏でる向井秀徳氏。

男勝りなギターソロを弾く女性ギタリストの田渕ひさ子氏。

高速ダウンピッキングでルードかつ直線的なベースを弾く中尾憲太郎氏。

スキあらば乱打しまくるドラムを叩くアヒト・イナザワ氏。

 

これらすべてがかみ合い、ロックバンドが楽器を弾くかっこよさが凝縮されている点が人気の理由ではないでしょうか。

オレ押さえ

オレ押さえとは、向井秀徳氏が開発した「開放弦を多用したコード」です。

元々、「LED ZEPPELINのような正統派ギターが弾けない」という理由で誕生したと言います。

布袋寅泰氏の影響という意見もありますが、個人的にはUSエモ・オルタナの影響なのではないかと思います。

 

例えば、前述の『透明少女』ではカポタストを2フレットにはめ、6弦7フレット、4弦8フレット、3弦8フレット、1,2弦は開放弦というコードです。

 

2000年代のロックバンドが1,2弦を開放するコードを多用し、曲によってカポタストを使う理由だと思います。

向井秀徳氏の金属的な音作り

向井秀徳氏の金属的ギターサウンドは『タッチ』でも顕著です。

向井秀徳氏の音作りの中核を成すギターとアンプ、エフェクターの組み合わせは以下です(一部イメージ画像)。

フェンダー・ジャパンのテレキャスター(62年モデル)

VOX AC-30

BOSS OS-2

MAXON ROD880

Electro-Harmonix Octave Multiplexer(後期)

LINE6 DL4(後期)

この組み合わせで、とにかく右手を切れ味鋭く弾くのが彼のプレイスタイル。

弾く力が強いからか、ライブ中に弦が切れる(弦切り)こともしばしばです。

 

おそらく、近年テレキャスターを持つギターボーカルが多い理由に、5%くらいは影響しているのではないでしょうか?

田渕ひさ子氏のギタープレイと音作り

田渕ひさ子氏がジャズマスターを弾く姿は、女性ギタリストに多大な影響を与えたと言います。

中尾憲太郎氏が彼女をナンバーガールに誘った理由も、「立ち姿のかっこいい女性ギタリストがいる」というものでした。

 

向井秀徳氏に比べると、田渕ひさ子氏の音作りは図太いのに繊細なイメージです。

ギター・アンプ・エフェクターの組み合わせと音作りは、以下のようになっています(一部イメージ画像)。

フェンダー・ジャズマスター(65年製)

マーシャル(Marshall) Mark II(74年製)

BOSS BD-2

TOKAI TDS-1


※ヴィンテージのため流通が少ないです。サウンドが比較されやすいBOSS DS-1の画像を掲載しました。

KLON CENTAUR SILVER

BOSS CE-2

BOSS RV-3

MAXON AD-900

ちなみに、音作りの特徴はアンプ側のボリュームを思い切り上げ、BD-2で歪ませながら音量を下げているようです。

ギターソロのときはTDS-1を踏み、アンプのクリーンと同程度のボリュームに戻しているとのことでした。

音楽的造詣の深さ(革新性)

中期以降のナンバーガールに顕著ですが、変拍子を多用する邦楽ロックバンドは少なかったと思います。

2000年前後にラップを取り入れているバンドも多くありませんでした。

のちにZAZEN BOYSではマスロック的なアプローチも増えますが、向井秀徳氏の音楽的造詣の深さ(新たな音楽との接触)はナンバーガール時代からすでに始まっていたわけです。

 

ラップの部分をもう少し深く掘り下げてみました。

 

ナンバーガールの場合、自分たちの音楽性や歌詞表現にラップが取り入れられていたため、いい意味でヒップホップと別物と扱われていたと考えられます。

あくまで自分たちのサウンドが主軸な点は、ナンバーガールのよさです。

「冷凍都市の暮らし」「繰り返される諸行無常」など、向井秀徳ワールド全開な歌詞も多くのフォロワーを生み出しました。

ナンバーガールにまつわる逸話

ナンバーガールは、当サイトで紹介したバンドとも深いつながりがあります。

VELTPUNCHの長沼さんがナンバーガールのメンバーにデモテープを渡した」

ASIAN KUNG –FU GENERATIONの『N.G.S』はナンバーガールシンドロームの意味である」

他のバンドを見ていてもこういった話は枚挙にいとまがありません。

また、芸能界にも多数のファンがいるようです。

⇒『ナンバーガールファンの芸能人って誰?』のページへ行く

今の邦楽ロックを愛するなら一度は聴きたいバンド

今回はナンバーガールについて紹介しました。

多くのバンドマンが一度は憧れるロックな音楽性は、きっとあなたの耳にも大きな刺激となるはずです。

時期によってはボーカルが聴きづらかったり音が悪かったりしますが、それも含めてのナンバーガールだと思います。

「こんなギターもあるのか!」と驚くはずなので一度聴いてみてください。