オルタナティブ・ロックの金字塔的アルバムと言えば、MyBloodyValentine(マイブラ・mbv)『Loveless』ではないでしょうか。

シューゲイザーはもちろん、エモやポストロック、エレクトロニカなどのジャンルに多大な影響を与えたバンド、そしてアルバムです。

今回はMyBloodyValentineと『Loveless』の音作りや機材、管理人の思い出を語ります。

MyBloodyValentineとは?

あらためてMyBloodyValentineについて基礎情報をお話します。

すでにご存じの方は読み飛ばしていただいて構いません。

概略

MyBloodyValentineは1984年に結成されたアイルランド出身のロックバンド。

初期メンバーだった小説家志望のボーカル、デイヴ・コンウェイが同名のB級ホラー映画から名づけました。

当初はゴシックパンクでしたが、ボーカル脱退とビリンダ&デビー加入を経て、ギターポップ~シューゲイザーへと変遷を遂げます。

メンバー

ケヴィン・シールズ(Vo&Gt)

ビリンダ・ブッチャー(Vo&Gt)

デビー・グッギ(Ba)

コルム・オコーサク(Dr)

ディスコグラフィー

1985年

This is your bloody valentine

Geek

1986年

The New Record by My Bloody Valentine

1987年

Sunny sundae smile

Strawberry wine(本作から現行メンバー)

Ecstasy

1988年

You made me realise

Feed me with your kiss

Isn’t any thing

1991年

Glider

Tremolo

Loveless

2013年

mbv

来日歴

1991年:川崎CLUB CITTA、名古屋CLUB QUATTRO、心斎橋CLUB QUATTRO

2008年:フジロック・フェスティバル

2013年:なんばHATCH、新木場STUDIO COAST、フジロック・フェスティバル、東京国際フォーラム

『Loveless』(邦題:愛なき世界)

『Loveless』はクリエイション・レコーズから1991年にリリースされたアルバム。

ぼやけたフェンダー・ジャズマスターの写真をショッキングピンクで塗り潰したジャケットが印象的です。

徹底したスタジオワークの結果、4,500万円もレコーディング費用がかかり、レーベル存続の危機に立ったという伝説があります。

作品の一般的な評価

ノイジーで浮遊感あふれる轟音ギター、男女ツインボーカル。

シューゲイザーと呼ばれるジャンルの方向性を決定づけた1枚です。

MyBloodyValentine『Loveless』の楽曲

MyBloodyValentineの楽曲をご紹介します。

Strawberry wieのギターポップ路線やIsn’t anythingのサイケデリック路線もロック好きからは人気です。

ただし、シューゲイザーの説明がややこしくなるので、『Loveless』に絞って取り上げます。

Only Shallow

『Loveless』の1曲目は『Only Shallow』。

ドラムの直後に鳴るギターとは思えないエフェクティブなサウンドは、全世界のロック・ファンに衝撃を与えました。

ギュイイイインというサウンドは、一聴したときにギターとは思わないでしょう。

Sometimes

8曲目の『Sometimes』は実験的かつポップな1曲。

ドラムを使わず、ノイズギターとアコースティックギターだけで表現しています。

映画『Lost In Translation(ロスト・イン・トランスレーション)』の挿入歌に使われました。

MyBloodyValentineの機材・音作り

MyBloodyValentineの機材・音作りのポイントは以下の通りです。

フェンダー・ジャズマスターまたはジャガー


微妙に変化するピッチ(音程)を作る秘密はトレモロアーム。

他のギターでは出せない微妙な揺らぎ感を生み出します。

マーシャルのアンプ


マーシャル(Marshall)らしい英国直系のサウンドが特徴です。

エフェクターを用意しなくとも、十分にマイブラサウンドになるのではないでしょうか。

ヴォックスのアンプ


ヴォックス(VOX)もまた彼らのサウンドを構築するサウンドのひとつです。

クリーン~軽いオーバードライブのギターはヴォックスで弾いていたと考えられます。

ヤマハSPX-900(またはリバースリバーブ・ディレイ)


かつてヤマハから販売されていたラックエフェクター・SPX-900を使い、原音のないリバースリバーブの音作りをします。

当然、原音がなくなるリバースディレイなら現行のエフェクターで構いません。

オーバーダビング(多重録音)


機材とは別ですが、MyBloodyValentineは録音手法にもこだわっていました。

分厚いギターサウンドはオーバーダビングによって作られています。

複数のギターを重ね、同じコードを弾くことがポイントです。

同じように同じ曲を弾いてもわずかなズレがあるので、楽曲の奥行きや広がりが生まれます。

まだあるMy Bloody Valentineの機材

MyBloodyValentineのケヴィン・シールズはさまざまなエフェクターを使っていました。

実は、その多くがギミック用で、1曲の、1つのフレーズのためだけに用意していたようです。

Marshall Shred Master


マイブラサウンドの歪み部分を再現するために使ったと思われます。

BOSS GE-7


ブーストや極端なイコライジングによるノイズづくりに使ったと考えられます。

BOSS PN-2


いわゆる音を揺らすトレモロのエフェクターです。
生産完了品なので、見つけるのが難しい場合はTR-2で代用しましょう。

DIGITECH WH-1


ワーミーと呼ばれるエフェクターで、ノイジーなサウンドに使われていたようです。
オクターブを下げる効果がありますが、現行モデルでも同じ効果が狙えます。

Devi Ever Shoe Gazer


再結成以降、ケヴィン・シールズが愛用しているファズ・ペダルです。

2種類の爆音系ファズを搭載し、強烈に歪んだサウンドを実現します。

独自の変則チューニング

my bloody valentineはコード感のわからないギターサウンドが特徴です。

その理由は、ディレイや深い歪み、フローティングトレモロだけではなく、変則チューニングにもありました。

例えば、『To here knows when』では6弦からEBEEBEというチューニングにしていたようです。

変則チューニングかつ、特殊な押さえ方をしたコードにすることで、マイブラ独自の世界観を構築していたといえます。

このあたりは同時期か、少し早くから活躍していたSonic Youthの影響下もあるのかもしれません。

管理人とMyBloodyValentine

シューゲイザーの名盤『Loveless』と管理人の出会いは2004年の夏。

そのときの思い出を中心にお話します。

Sprial Lifeの元ネタ


当時、車谷浩司(AIR)と石田ショーキチによるユニット、Spiral Lifeにハマっていた管理人は、『Nero』の元ネタであるMyBloodyValentine『Loveless』を探していました。

オマージュなのかインスパイアなのか、あるいはパクリかはさておき、当時の渋谷系カルチャーを感じさせる1曲です。

この記事を最初から読んでいただいた方はお気づきだと思いますが、MybloodyValentine『Sometimes』に似ています。

 

当時、インターネットが普及しておらず、簡単に楽曲を聴くことができませんでした。

CDショップを何軒もハシゴし、ようやく『Loveless』に出会います。

 

これまで管理人が聴いていたのはThe BeatlesやSex Pistols、NIRVANAのようにスタンダードなロックばかり。

CDラジカセから飛び出た『Only Shallow』のサウンドに、文字通りひっくり返りました。

いま思うと、サイケデリック・ロックやシューゲイザーの洗礼を浴びた瞬間だと思います。

 

その後、すぐにMDへ録音し、高校への通学途中に毎日『Loveless』を聴いていました。

チープなヘッドフォンでしたが、甘美でノイジーなギターサウンドの世界にのめりこみます。

そこからライド(RIDE)やスロウダイヴ(Slowdive)、スワーヴ・ドライヴァー(Swervedriver)、国内ならスーパーカーやルミナス・オレンジ(Luminous Orange)など、多くのシューゲイザーバンドを聴くようになりました。

管理人がよく聴いていた、あるいはCDを探し回った9バンドについては以下で詳しく紹介します。

⇒『90年代の英国シューゲイザーバンドまとめ』のページへ行く

 

学校ではハイ・スタンダード(Hi-STANDARD)やエルレガーデン(ELLEGARDEN)、銀杏BOYSが流行っていた時期です。

当然、同級生からの賛同を得られることはなく、管理人は冬の時代を過ごしていました。

 

ちなみに、2000年代前半、シューゲイザーは「冬の時代」と呼ばれ、ほとんどのバンドが商業的には失敗していたと思います。

日本国内ではルミナス・オレンジやクライフ・イン・ザ・ベッドルーム(Cruyff in the Bedroom)、コールター・オブ・ザ・ディーパーズ(Coaltar of the Deepers)など、1990年代から活動していた一部のバンドを除き、その多くが短命または日の目を見ることなく活動を終了しました。

そんな中、短命ながらシューゲイザー四天王と呼ばれたハートフィールド(HARTFIELD)について紹介します。

⇒『なぜHARTFIELDは最高の国産シューゲイザーバンドなのか』のページへ行く