ジャズマスターは、フェンダー(Fender)などで作られている人気のエレキギター。

フェンダーのギターの中では、ストラトキャスターやテレキャスターに次ぐ定番モデルとなりました。

ジャズマスターはここ最近で人気が再燃してきているエレキギターです。

ここではジャズマスターの歴史や音(サウンド)、ジャガーやムスタングとの違いについて紹介します。

ジャズマスターってどんなギター?


ジャズマスターは、その名の通りジャズギタリストが使うことを想定して開発されたギターです。

ジャズ向けと言いつつも、1958年の発売以降、多くのジャンルのギタリストに愛されるギターとなりました。

最近では歌もののポップスからサーフロック、オルタナティブ・ロック(グランジ、シューゲイザー)、ポストロック、エモ、パンクと、ジャンルレスに活躍しています。

ジャズマスターの歴史

ギブソンのフライングVやエクスプローラーと同じ1958年に発表されたジャズマスター。

当時はジャズ向けの高級機として発売されました。

1966年前期にはネックにバインディングが施され、後期になるとポジションマークがドットからブロック型へ変更。

ハイグレード機らしい風格を持つギターへと仕様変更されていきました。

音色

ジャズマスターに搭載されているピックアップは、ストラトキャスターやテレキャスターのピックアップよりも大きい、ジャズマスター専用のシングルコイルピックアップです。

他のシングルコイルよりもコイルの巻き数を増やしているため、磁力が強く、太く甘いトーンを鳴らします。

見た目はギブソンのP-90に似ていますが、P-90が中音域が強い太くコシのある音なのに対し、ジャズマスターピックアップは、高音域が強くジャリっとした音が出る、という違いがあります。

 

また、ジャズマスターはブリッジの構造上、弦の張力が弱くなるため、緩めのサウンドが特徴です。

サーフロックやオルタナティブ・ロック、シューゲイザー系のギタリストに好まれる理由の一つと言えます。

弾きやすさについて

ジャズマスターは立っても座っても弾きやすいように、オフセットウエストというボディ形状を採用しています。

多くのエレキギターが、ボディのくびれの位置が左右対称であるのに対し、ジャズマスターはあえて非対称にデザイン。

これにより、ギターの抱えやすさを向上させました。

このボディデザインは、オシャレなデザインとしてここ数年で再評価されています。

 

一方で、ジャズマスターに搭載されている「フローティング・トレモロ」システムの影響や弦のテンション(張力)が弱いです。

多くのギタリストが「弦落ち」という現象に悩まされてきました。

弦落ちとは、主に1弦など外側の弦を押弦したときに、弦がネックの外側へ落ちてしまうことを指します。

詳細は後述しますが、ジャズマスター使いは弦落ち対策を強いられることになります。

代表的なギタリスト

ジョー・パス、サーストン・ムーア(ソニックユース)、ケヴィン・シールズ(My bloody Valentine)、田渕ひさ子(ナンバーガール、toddle、bloodythirsty buchers)、美濃隆章(toe)、川上洋平([ Alexandros])

ナンバーガールの田渕ひさ子嬢とマイ・ブラッディ・バレンタインのケヴィン・シールズ氏について、詳しくは以下のページをご覧ください。

ナンバーガールとはどんなバンドなのか?【邦楽ロック必修科目】

My Bloody Valentine『Loveless』と機材・音作り

ジャズマスターのギターブランド

ジャズマスターを発売しているブランドは、フェンダーUSA、フェンダーメキシコ、日本製フェンダー、スクワイアー(Squire)の4つです。

それぞれのブランドのジャズマスターについて紹介します。

フェンダーUSA

フェンダーUSAのジャズマスターには2つのラインナップがあります。

アメリカン・プロフェッショナル・ジャズマスター


フェンダーUSAの中では標準的なグレードの機種です。
値段は20万円ほど。

アメリカン・プロフェッショナルのために新開発された「V-Mod」ピックアップを搭載していて、ネックシェイプはモダンディープCシェイプを採用。

多くのジャズマスターに採用されている「プリセットスイッチ」を廃止したシンプルな操作系や、ジャズマスター には珍しくメイプル指板のモデルがラインナップされているのが特徴です。

アメリカン・オリジナル・ジャズマスター


60年代のジャズマスターを意識したモデルで、ピックアップのスペックやラッカー塗装、60年代式のCシェイプネックなど、当時の使用を再現しています。

値段は30万円ほど。

一方で指板Rの角度をアレンジするなど、モダンなプレイアビリティを追求したアレンジが加えられています。

こちらはプリセットスイッチが搭載されていて、ジャズマスターらしい見た目に仕上がっています。

フェンダーメキシコ

フェンダーメキシコのジャズマスターラインナップは3つです。

クラシック・プレイヤー・ジャズマスター・スペシャル


値段は10万円代半ばくらいで、ジャズマスターの人気機種です。

クラシックと言いつつもモダンなプレイアビリティに重きを置いたジャズマスターで、ピックアップの出力が高められています。

これにより従来のジャズマスターよりも太い音を出すことが可能に。

また、弦落ち対策として”Adjusto-Matic”ブリッジを採用。

激しくかき鳴らすプレイにも対応しました。

スタンダード・ジャズマスター


10万円を切るモデルです。

スタンダードと言いつつも、ハムバッカーピックアップの採用やプリセットスイッチの廃止など、新しいジャズマスターとしてのスタイルをとっています。

ハムバッカーの外側だけを駆動させるコイルタップ機能を搭載。

ハイゲインなハムバッキングサウンドからクリアなシングルコイルサウンドまで、さまざまな音作りに対応しています。

ROAD WORN


クラシック・プレイヤー・シリーズよりも少し高い値段設定です。

長年使い込まれたような弾き傷や、パーツの錆などの汚れを意図的に再現したシリーズ。

アメリカン・オリジナルの前身であるアメリカン・ヴィンテージで使われていたピックアップが採用され、ワンランク上のヴィンテージトーンを鳴らしてくれます。

日本製フェンダー


日本製フェンダーはMade In Japanシリーズと呼ばれています。

限定仕様が発売されることもありますが、基本的にジャズマスターのラインナップは60年代の仕様を踏襲した一種類のみ。

価格は10万円ほどで、こちらもメキシコのクラシック・プレイヤー・シリーズに並ぶ人気機種です。

 

60年代の中でも前期モデルを意識しているのか、あるいはコストダウンのためなのか、ネックバインディングのないプレーンなルックスに仕上げられています。

一方で、ブルーフラワーやピンクペイズリーといった特殊仕様を含む、6つのカラーがラインナップされており、フェンダーのジャズマスターの中では最も豊富なカラーラインナップを誇ります。

 

サウンドは本家USAのものよりも高音域が際立っています。

本体のボリュームノブを少し絞ることによりハイカットフィルター(高音域を弱くする機能)を作用させ、トーンを落ち着かせるという手法をとっているギタリストもいるようです。

スクワイヤー

スクワイヤーのジャズマスターラインナップは3種類です。

デラックス・ジャズマスター


一番上のグレードがデラックス・ジャズマスターで、およそ6万円。

赤いボディにゴールドアノダイズドが映える、目を引かれるカラーリングが特徴です。

ジャズマスターらしいコントロールを備えていますが、大胆にもフローティング・トレモロを廃止しています。

代わりにストップテイルピースと呼ばれるタイプを採用することで、悩ましい弦落ちを解消しています。

ヴィンテージ・モディファイド・ジャズマスター


スクワイヤーの中では最もジャズマスターらしいスペックを備えているため、低価格のジャズマスターが欲しい方にはこちらがおすすめです。

価格は約5万円。

カラーも4種類から選ぶことができます。

アフィニティ・シリーズ・ジャズマスター


最後に紹介するのは、最も低価格なジャズマスターであるアフィニティ・シリーズのジャズマスターです。

こちらはおよそ3万円で購入することができます。

プリセット・コントロールを取り払いハムバッカーを2基搭載した本機は、メキシコ製のスタンダード・ジャズマスターに近いスペックを備えています。

 

ただし、スタンダード・ジャズマスターと違ってコイルタップはできません。

ジャズマスターシェイプのギターをハードに鳴らしたい方におすすめです。

初心者の課題はブリッジと弦落ち

ジャズマスターは、専用に新開発されたフローティング・トレモロというシステムを採用しています。

アームの動きに合わせてブリッジが前後に動くことで、アーミングを滑らかにするというメリットがあるシステムです。

しかし、ブリッジには前後に動くための「遊び」が存在するため、チューニングが安定しない、という大きな問題があります。

弦のボールエンドからサドルまでの距離が長いため、弦にかかる張力が他のギターよりも弱いです。

これにより、ジャズマスターを使うプレイヤーは、弦落ちに悩まされることになります。

 

これらの問題点から、ジャズマスターは「扱いづらい」という印象を持たれることになりました。

チューニングの安定やストレスフリーな演奏感は、練習において大切な要素です。

この点において、ジャズマスターは初心者には向いていないと言えます。

しかし、これらの問題を解決する改善方法もあるので紹介します。

ブリッジを交換する

ブリッジ交換について定番の手法を見てみましょう。

フェンダームスタング用のブリッジ


ポピュラーなカスタマイズとしてあげられるのが、フェンダームスタングのブリッジに交換することです。

大きめのサドルに入れられた溝が一つだけなので、弦落ちを防ぐことができます。

ブリッジのカスタマイズの中では最も効率的でしょう。

マスタリー・ブリッジ


次にポピュラーなのが、マスタリー・ブリッジへの交換です。

マスタリー・ブリッジは、多くの著名なジャズマスター使いが愛用しているブリッジです。

弦をサドルにしっかり固定できるうえ、ブリッジのフローティングをロックすることができます。

ジャズマスターの快適な演奏環境のために生み出された交換パーツで、簡単に載せ替えることができます。

従来品よりも弦の張力が増すため、音も硬くメタリックな印象へと変化します。

レスポール用のブリッジ


響きを変えるという点では、レスポールに使われているチューン・O・マティックタイプのブリッジもオススメです。

チューニング精度やサステインの向上、弦落ちに効果があります。

ただし、載せ換えにはボディにザグりを入れる(木材を加工すること)必要があるので、自分での交換はおすすめしません。

楽器店に持ち込み、専門のスタッフに交換してもらいましょう。

バズストップバーを使う


バズストップバーは、弦に張力を与えるためのカスタマイズパーツです。

一部のシグネイチャーモデルには標準装備されています。

手軽に取り付けができるほか、余分な共鳴をカットしてくれるので、弾き心地も快適でしょう。

ただし、マスタリー・ブリッジ同様テンションが高くなるため、音は硬質になりジャズマスターの柔らかい弾き心地は多少損なわれてしまいます。

好みが分かれるところですが、音色や弾き心地に影響を与えたくない方はムスタング・ブリッジをおすすめします。

ジャガー、ムスタングとの違い

ジャズマスターとよく比較されるフェンダー系のギターに、ジャガーとムスタングという2つの機種があります。

これらとジャズマスターとの違いを紹介していきます。

ジャガーとの違い


ジャガーとは、「ジャズマスターのネックが長すぎる」「サウンドがメロウすぎる」という声に応えるべく作られた、ジャズマスターのさらに上をいく最上級モデルです。

ネックの長さを改善するために、ジャガーは24インチのショートスケールネックを採用(ジャズマスターは25 1/2インチ)。

また、ピックアップを新開発し、ジャズマスターよりもシャープでブライトなサウンドを出力できるようになりました。

さらに、ローカットスイッチやミュートスイッチを備えることで、多機能化も実現。

最上位機種にふさわしい豪華なギターと言えます。

 

ジャガーはジャズマスターを元に作られています。

そのため、フローティング・トレモロやオフセットボディ、プリセット・コントロールなどはそのまま引き継いでいます。

ムスタングとの違い


ムスタングはボディの形もルーツもジャズマスターとは異なるギターです。

しかし、ジャズマスターやジャガー同様、オルタナディブ・ロックやグランジで人気を集めた機種のため、しばしば比較対象に上がります。

 

ムスタングはジャガーと同じく、24インチスケールのネックを採用しています。

また、ボディもジャズマスターに比べて小ぶりなため、女性や体の小さな方におすすめのギターです。

6弦側のボディにスイッチが2つついていて、細かい音作りができるという点でもジャズマスターやジャガーに似ていると言えるかもしれません。

 

ムスタングのサウンドは、サステインが短く歯切れのいい音、低音がチープで荒々しいサウンドと評されています。

そのサウンドと名前を車のマスタングと掛け合わせて、「暴れ馬」と表現されることもあります。

スチューデントモデルとして開発された低価格ギターですが、初心者の手には負えないほど乗りこなすのが難しいじゃじゃ馬っ子です。

ギターボーカルでかき鳴らすのに向いています。

 

ギターボーカルやシューゲイザーで使いたいならジャズマスター、サーフ系やインスト系のリードギターとして使いたいならジャガー、小さなボディではじけるような音をかき鳴らしたい方はムスタング、といった使い分けでしょうか。

シューゲイザーについて関心のある方は以下のページをご覧ください。

シューゲイザーの音作りと必須のエフェクター【入門編】

クセのあるジャズマスターは気合で使いこなそう

ジャズマスターはギターボーカルやサーフロック、シューゲイザーに向いたエレキギターです。

ただし、初心者には扱いの難しいギターでもあるため、1本目のギターとしてはおすすめしません。

どうしてもジャズマスターのオシャレな形に惹かれてしまったという方は、ぜひリプレイスメントパーツ(交換用のパーツ)を使ってください。

また、初心者が一人で改造を行うのは危険なので、必ず楽器店の店員さんに相談しましょう。