テレキャスターはフェンダー(fender)などで作られている、定番ギターの中では最も古い歴史をもつエレキギター。

フェンダーのエレキギターの中ではストラトキャスターと並ぶ人気機種です。

このページでは、テレキャスターの歴史やサウンド、どんな弾き方に向いているのかについて紹介します。

また、さまざまなバリエーションのテレキャスターも取り上げました。

テレキャスターってどんなギター?

テレキャスターは、硬く歯切れのいいトーンを持った、コード弾きに向いたエレキギターです。

立って構えたときにネックが地面に対して水平になる傾向があり、このことからもソロ弾きよりもコード弾きに向いています。

コード弾きの多いギターボーカルやファンク系のカッティングに向いたギターです。

テレキャスターの歴史

テレキャスターには、前身として『エスクワイア(1949年)』『ブロードキャスター(1950年)』というふたつのギターがあります。

エスクワイアとして発表されたフェンダー初の量産型エレキギターが、のちにブロードキャスターとなり、1952年についにテレキャスターとしてデビューしました。

世界初のエレキギターではありませんが、いまだに販売が続けられている量産型ギターとしては最も長い歴史があります。

音色

テレキャスターの音は、硬質でシャキッとしたサウンドが特徴です。

2つのシングルコイルのピックアップを搭載していますが、実はフロントとリアで大きさが異なります。

フロントピックアップは小さめのシングルコイルで、甘く柔らかいトーンを奏でます。

リアピックアップは大きめに作られていて、パワーがあり、硬くハッキリとした音です。

 

後述しますが、フロントだけ、もしくはフロント/リアの両方にハムバッカーを載せたテレキャスターも定番モデルとして存在します。

外観

テレキャスターのボディは、アコースティックギターの老舗ブランドである、マーチン(Martin)のドレッドノートタイプのギターに影響を受けているとされています。

ボディの一部がカッタウェイ(えぐるように切り取られた形状)で、ハイポジションの演奏性が高まりました。

 

また、角がはっきりした真っ平らなボディがテレキャスターの特徴です。

同じフェンダーの定番機種であるストラトキャスターには、コンター加工(右肘が当たる部分のボディの角をとり滑らかにする加工)が施されていますが、テレキャスターにはありません。

ストラトキャスターのリリース以降もコンター加工が施されることはなく、いまも伝統的な

ボディシェイプを貫いています。

代表的なギタリスト

キース・リチャーズ(The Rolling Stones)、ジミー・ペイジ(Led Zeppelin)、トム・モレロ(Rage Against The Machine)、ブラック・フランシス(The Pixies)、TK・北嶋徹(凛として時雨)、橋本絵莉子(チャットモンチー)、向井秀徳(ナンバーガール・ZAZEN BOYS)、中村弘二(スーパーカー

フェンダージャパンとフェンダーUSAの比較

テレキャスターの生みの親であるフェンダーには、フェンダーUSA、メキシコ、ジャパンの3つの生産ラインが存在します。

正確には『フェンダージャパン』というブランドは、フェンダーが2015年に組織改革を行った際に廃止されていて、『Japan Exclusive シリーズ』を経て今は『Made In Japanシリーズ』という名前で、一つの日本製シリーズとして引き継がれています。

フェンダーUSAのテレキャスター

まず、フェンダーUSAの中には4つのラインナップがあります。

 

・アメリカン・エリート(American Elite)

・アメリカン・プロフェッショナル(American Professional)

・アメリカン・スペシャル(American Special)

・アメリカン・オリジナル(American Original)

 

ここでは中心となるアメリカン・プロフェッショナルと、ヴィンテージ系のアメリカン・オリジナルについて紹介します。

アメリカン・プロフェッショナル


アメリカン・プロフェッショナルですが、以前はアメリカン・スタンダード(American Standard)という名前で発売されていたシリーズです。

その名の通りフェンダーUSAの中では最もスタンダードなシリーズになります。

値段はおよそ20万円。

新しさを盛り込んだモダン系のギターに仕上げられていますが、ヴィンテージの古き良き部分はそのまま継承されています。

 

ピックアップには専用に開発された「V-Mod」というピックアップを使用。

巻き弦である低音弦側のマグネットには、出力と音質のバランスが良くドンシャリ系サウンドのアルニコV、プレーン弦である高音弦側には、中音域が強く甘さと粘りのあるサウンドのアルニコⅡを配置しています。

アルニコⅡは1950年代のテレキャスターにも採用されているヴィンテージ系のマグネットです。

アメリカン・プロフェッショナルのサウンドは、斬新なアイデアで新設計された独自のピックアップにより支えられています。

 

また、アメリカン・プロフェッショナルはネックシェイプも新開発されています。

これまでの「モダンC」シェイプを廃止し、「ディープC」シェイプを採用。

従来よりも厚さと丸みが増したシェイプで、音響特性が向上、ネックが太いため強さも増しています。

ギターは細く薄いネックの方が弾きやすいと思われる傾向がありますが、ディープCシェイプはその逆を行きます。

これは、「ネックはある程度太い方がコードは抑えやすく、チョーキングもしやすい」という人間工学に基づいた設計です。

「細くて薄いほど弾きやすい」というこれまでの常識を覆すようなネックになっています。

 

一方で、コンター加工のないボディ形状やブラス製の3連サドルなどは伝統を引き継いでおり、伝統と新しさを兼ね備えたギターに仕上がっています。

(ただし、サドルはピッチを整える加工が施してあるため、従来のものとは多少異なります)

アメリカン・オリジナル


アメリカン・オリジナルはヴィンテージ志向を追求したシリーズです。

現在は50年代スタイルのテレキャスターと、60年代スタイルのテレキャスターの2機種が発売しています。

価格はおよそ27万円です。

 

ピックアップはそれぞれPure Vintage ‘52とPure Vintage ‘64を搭載。

これらは、エナメルコーティングのコイルワイヤーやマグネットの種類など、当時のスペック通りに再現した、完全ヴィンテージ仕様のピックアップです。

それぞれエッジの効いた往年のテレキャスタートーンを楽しめます。

 

ネックシェイプは厚めのUネックシェイプとmid-60’s Cシェイプです。

厚めのUネックはコードを抑えやすい作りになっていて、60年代中期仕様のCシェイプは、あらゆる種類のプレイスタイルに適したバランス型の握りになっています。

 

また、どちらもボディの塗装は昔ながらのラッカー塗装が特徴です。

現代のスタイルのポリ塗装よりも薄い塗装のため、ボディ鳴りを邪魔しない極上のトーンをもたらしてくれます。

日本製フェンダーのテレキャスター

日本製フェンダーであるMade In Japan(旧・Fender Japan)シリーズには、大きく分けて2つのラインナップがあります。

 

・メイド・イン・ジャパン・トラディショナル(MJT)

・メイド・イン・ジャパン・ハイブリッド

 

前者が伝統的なスペックを元に作られたもので、後者は今の時代にあったアレンジを加えたワンランク上のシリーズです。

価格はそれぞれ10万円前後ですが、メイド・イン・ジャパン・ハイブリッドの方が少し高くなっています。

メイド・イン・ジャパン・トラディショナル


メイド・イン・ジャパン・トラディショナルのテレキャスターは、ピックアップに「Vintage Style Single-coil Tele」を採用しています。

これはフェンダージャパン時代から使われ続けているピックアップで、名前の通りヴィンテージスタイルのサウンドです。

 

ネックシェイプは従来のCシェイプから変更し、厚めのUシェイプを採用。

厚みがある分コード弾きがしやすい仕様になっています。

 

このほか、ヴィンテージスタイルのフレットや伝統のブラス製3連サドルなど、古き良きテレキャスターを再現しています。

メイド・イン・ジャパン・ハイブリッド


メイド・イン・ジャパン・ハイブリッドのテレキャスターは、現代風にアレンジを加えたテレキャスターです。

 

ピックアップには「American Vintage ’58 Single-Coil Tele」を採用。

日本製フェンダーでありながらアメリカ製のピックアップを搭載することで、サウンドをワンランク上のものに仕上げています。

また、4-Wayのピックアップセレクターにより、フロント、リア、フロント+リア(並列)、フロント+リア(直列)と4種類の音色をチョイスすることができます。(本来は3種類)

 

ネックはメイド・イン・ジャパン・トラディショナルと同様、Uシェイプを採用していますが、ネック側の塗装仕上げはサテン・ポリウレタンです。

サテンはさらさらとした手触りが特徴で、通常のテカテカした塗装よりもポジションの移動がスムーズにできます。

また、フレットにはやや大きめのミディアムジャンボフレットが採用されており、押弦がしやすいです。

ストレスフリーな演奏がしたい方は、こちらのシリーズが向いているかもしれません。

日本製フェンダーの評価

日本製フェンダーはフェンダージャパンの頃から定評がありました。

たとえば、ウィルコ・ジョンソン、ブラック・フランシス(ピクシーズ)、向井秀徳(ZAZEN BOYS)などのアーティストにも好まれています。

 

そのフェンダージャパンがフェンダー・カスタムショップのクリス・フレミングの監修のもと、操業体制が見直され、さらに高品質に生まれ変わったのがMade In Japanシリーズです。

細かい仕上がりがこれまでのフェンダージャパン、Japan Exlusiveシリーズよりも洗練されていて、低価格でありながらも安心して持てるギターに仕上がっています。

 

また、木材選定の段階から見直されているため、以前よりも個体差が少なく良質な個体が多いと言われています。

憧れのブランドからギターを始めたい方に強くおすすめできるシリーズです。

テレキャスターカスタムって?

テレキャスターカスタムは、1972年から製造が始まった、通常のテレキャスターとは異なるギターです。


一番大きな特徴は、フロントピックアップに「ワイドレンジハムバッカー」を搭載していることです。

リアピックアップは通常のテレキャスター用シングルコイルを使用しています。

そのため、ピックアップセレクターをセンターにすると、ハムバッカーとシングルコイルを混ぜ合わせた独特なサウンドになるのです。

 

また、ハムバッカーとシングルコイルの出力差によるボリュームの違いをなくすために、2ボリューム2トーンの仕様になっていて、ピックアップごとに音量・音質を調節できます。

ちなみに通常のテレキャスターは、1ボリューム1トーンになっているため、フロントもリアも一括で音量が変わります。

 

現在入手するとしたら、メイド・イン・トラディショナルの70S TELECASTER CUSTOMか、フェンダーの傘下であるスクワイア(Squier)から出ているVINTAGE MODIFIED TELECASTER CUSTOMのどちらかになります。

値段は前者が10万円程で、後者がおよそ5万円です。

 

ルックスは、黒ボディにメイプル指板が定番で、通常のテレキャスターよりも大きな黒いピックガードが使われています。

テレキャスターらしいジャキジャキ感に、ハムバッカーのパワーとサステインをプラスしたい方におすすめです。

テレキャスターシンラインって?

テレキャスターにはシンラインと呼ばれるボディに空洞の空いたモデルが存在します。

外観

シンラインはボディの一部をくり抜いた、セミソリッド(またはセミホロウとも)と呼ばれるギターです。

ギブソンのES-335に代表されるセミアコとは構造が異なります。

また、ボディ表面にfホール(小文字アルファベットのfに似た形の穴)が開けられているのも特徴です。

 

本家フェンダー以外でもシンラインを作っています。

たとえば、およそ10万円で購入できるフジゲン製のNeo Classic NTLシリーズのシンラインも人気です。

シンラインの音

シンラインは空洞がある分、通常のテレキャスターよりもふくよかで空気感のある音が特徴です。

ただし、ボディサイズが小さいため、セミアコほどの効果は得られません。

また、空洞を持つ構造のエレキギターは、歪ませときにハウリングが起こりやすいというデメリットがあります。

こちらもセミアコほどではありませんが、歪ませて演奏する際は、多少立ち位置や音作りに注意が必要です。

この空洞は生音を大きくするのにも一役買っているため、アンプに繋がずに練習するときでも程よい音量感が得られます。

シンラインの種類

テレキャスターシンラインには、「69年式」のシンラインと、「72年式」のシンラインの2種類があります。

 

69年式のシンラインに載っているのは、通常のテレキャスターのようなシングルコイル2基です。

ただし、シンラインと通常のテレキャスターではピックアップのマウント方法が異なり、従来のボディに直接マウントする方法から、ピックガードに吊り下げる方式へと変更されています。

これはハウリングの軽減を目的とした仕様変更です。

 

72年式のシンラインは、ワイドレンジハムバッカーを2基搭載しています。

ワイドレンジハムバッカーは、ギブソンのハムバッカーよりも高音域が強調されたブライトなサウンドが特徴の、フェンダー用ハムバッカーです。

例外として、通常のハムバッカーを採用したモデルもあります。

代表的なギタリスト

スガシカオ、桜井和寿(Mr.Children)

ハムバッカーのテレキャスターの特徴

テレキャスターの中には、ハムバッカーを2基搭載したものも存在します。

ハムキャンセルによるノイズ軽減や、ハムバッカーらしいサステイン、音のつまり具合が好評です。

ただし、ハイパワーなハムバッカーを載せたことにより、テレキャスターのジャキジャキ感は失われます。

 

また、テレキャスターデラックスと呼ばれるシリーズは、前述のワイドレンジハムバッカーを搭載。

ハムバッカーでありながら、シングルコイルにも似た明瞭な音を響かせてくれます。

 

ハムバッカー仕様のテレキャスターは、60年以降のヘヴィ・メタル人気に合わせて考案されました。

名機「テレギブ」

ハムバッカーを2つ載せたテレキャスターの中に、テレギブと呼ばれる個体があります。

これは、当時フェンダーのサービスセンターに勤務していたセイモア・ダンカンが、ジェフ・ベックのために製作したギター。

セイモア・ダンカンとは、のちに同名の会社を立ち上げたピックアップ製作界の権威です。

 

テレギブとは、セイモア・ダンカン自身が所有していたテレキャスターに、ギブソンのP.A.F(パフ:オリジナルのハムバッカー)を搭載したギターのことを指します。

1959年のテレキャスターにハムバッカーを載せようとしたため、ブリッジプレートが半分にされているなど、若干荒削りなところも見受けられます。

 

しかしジェフ・ベックはテレギブを気に入り、彼のソロを代表する名曲『哀しみの恋人達』のレコーディングでも使用されました。

 

一部では邪道とも言われているハムバッカー搭載テレキャスターですが、フェンダーとギブソンを掛け合わせたような唯一無二のトーンは、通常のテレキャスターにはない魅力があります。

中古のテレキャスター

テレキャスターは人気が高いため、中古市場も賑わっています。

相場としては、元の値段の5割程度でしょうか。

たとえば、管理人のギターも新品の4割から半値程度の買取価格でした。

⇒『ガクヤ楽器買取ネットの口コミ・評判【3店舗を比較】』のページへ行く

 

いくつかのギターショップは楽天市場にも出店しているため、ネットでも気軽に中古テレキャスターを購入することができます。

また、オークションなどを通しての個人売買も、中古ギターを手に入れる手段としては当たり前になってきたかもしれません。

 

ただし、中古品は使用歴のあるギターです。

ネックの状態や消耗パーツの減り具合などをしっかり確認してから購入しましょう。

カッティングの名手・アベフトシとテレキャスター

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのギタリスト、アベフトシはご存じでしょうか?

カッティングを得意としていたギタリストで、オリジナル仕様のテレキャスターを愛用。

エフェクターを一切使わないのが彼のスタイルで、ギターをアンプに直結し、鬼のようにギターをかき鳴らしていた姿から、「カッティングの鬼」と呼ばれていました。

 

そんなカッティングの鬼の使用ギターは、原宿にあるseenという工房で作られていたテレキャスターカスタムです。

何種類か作られていますが、黒いボディに赤鼈甲のピックガードをあわせたものが有名です。

変更点

通常のテレキャスターカスタムからの大きな変更点は以下の通りです。

・指板がローズ指板であること

・コードが握りやすいVシェイプのネックであること

・ピックアップセレクターがトーンノブの位置に配置されていること

シグネイチャーモデルの有無

アベフトシはカリスマギタリストであったがために、同一仕様のギターが欲しいという声が多く上がったようです。

しかし、これまでにシグネイチャーモデルは発売されていません。

ただし、過去には楽器店などが企画してフェンダージャパンに特注した、アベフトシ仕様のギターに近いギターが発売されたことはありました。

これはあくまで、通常ラインのテレキャスターカスタムの、ピックガードの色やスイッチの位置を変更した「カタログ外スペック」として発売されたものです。

 

残念ながらフェンダーの組織改革に伴うラインナップ変更に伴い、現在は廃番となってしまったようです。

初心者にテレキャスターはおすすめ

テレキャスターは歯切れのいいクリアなトーンを持ったギターです。

ギターボーカルを目指す初心者にオススメできる一本です。

また、豊富な種類が展開されているため、自分に合ったお気に入りのテレキャスターを見つけやすいでしょう。