フライングVはギブソンが生み出した『変形ギター』と呼ばれる、奇抜なボディ形状を持ったエレキギターです。

その名のとおり、アルファベットのVをひっくり返したような形をしています。

弾きやすさもボディバランスも考慮には入れず、シンプルにかっこ良さを求めてフライングVはデザインされました。

このページでは、フライングVの歴史や弾き心地、音色(サウンド)について紹介します。

フライングVってどんなギター?

フライングVは1958年にギブソンより発売されたエレキギターです。

ステージ映えすることを目的にデザインされました。

フライングVの歴史

フライングVは同じく変形ギターであるエクスプローラーとともに、1958年にギブソンより発売されました。

当時はその先駆的デザインゆえに受け入れてもらえず、翌年には一度生産がストップしています。

しかし、1966年の再生産後はジミ・ヘンドリックスら著名ギタリストが手にするようになり、今では左利きモデルも生産されるほど地位を得ています。

弾きやすさについて

フライングVは他のギターと違いくびれがないボディ形状のため、座って弾くのが難しいと言われています。

もし座って弾く場合は、マイケル・シェンカーのように太ももで挟むようにして弾くことになるので、ソファや椅子に腰掛ける必要があります。

座った状態が弾きにくいと言うのが通説ですが、むしろ弾きやすいと言う意見も多々ありました。

 

立って演奏する際も、ボディバランスが悪い設計のため、ヘッド側が下がってくる「ヘッド落ち」に悩まされます。

 

ただし、フライングVは何にも変えられないルックスを売りにしたギターなので、弾きにくさはご愛嬌です。

実は、弾きにくいのはボディバランスだけという意見もあります。

ネックに関してはハイポジションが弾きやすく、速弾きもしやすいと思います。

フライングVの音

フライングVは、ネックとボディの接地面積が極端に少ない設計です。

音の傾向

甘く、柔らかいトーンがフライングVの魅力だといえます。

 

レスポールやテレキャスターのようなシングルカッタウェイのギターと比べ、弦振動やネックの鳴りの伝達効率が悪化し、音が軽くなる傾向があります。

ボディ材には、甘く柔らかい音響特性を持つ、コリーナやマホガニーを使用していることが特徴です。

ここは好みが分かれるポイントと言えるでしょう。

 

 

フライングVのトーンに魅入られたギタリストは少なくありません。

前述のマイケル・シェンカーは、自身のトレードマークとして長年に渡って愛用し続けています。

 

また、ヘヴィ・メタルの分野に限らず、ブルース系のギタリストにも愛用者がいるのも事実です。

フライングVが見た目に反して、幅広いジャンルで受け入れられていることが見て取れます。

代表的なギタリスト

マイケル・シェンカー、小山田圭吾(Flipper’s Guitar、Cornelius)、木下理樹(ART-SCHOOL)、松本孝弘(B’z)

B’zとフライングVのこぼれ話

2015年以降、B’zの松本孝弘さんがギブソンより復刻されたコリーナVをライブで使用するようになり、話題になりました。

松本さんは自身の所有するフライングVの音を「高音域の強い派手な音」と評しています。

これは、マホガニーより軽い材であるコリーナを使用したフライングVの特徴です。

ギブソンとエピフォンでどう違う?

フライングVはギブソンとエピフォンから発売されています。

両ブランドの違いは、主にレスポールのページで述べた通りです。

⇒『レスポールは初心者が弾きやすいギター?』のページへ行く

しかし、レスポールはエピフォンでも多彩なラインナップがあるのに対し、ギブソンのフライングVはレギュラーラインナップがなく、限定生産モデルのみです。

エピフォン

エピフォンのフライングVのバリエーションが多彩です。

最近では、希少なコリーナ材、ブラックピックガードやゴールドパーツを使い、かつての「コリーナV」を再現したフライングVがエピフォンから発売されました。

価格はおよそ6万円弱で購入することができます。

また、アーティストの希望に沿った仕様が盛り込まれた、特別仕様のシグネイチャーモデルが発売されることもあります。

シグネイチャーモデルのフライングVは、およそ10万円の値段が相場です。

ギブソン

一方で、本家ギブソンのレギュラーラインナップは1種類しかありません。

カラーラインナップも1、2種類と控え目な展開です。

ただし、ギブソンのフライングVは往年のスタイルではなく、今の時代に合う仕様にアレンジされています。

ネックシェイプやピックアップ、カラーバリエーションなど、毎年仕様が変更されます。

 

また、ギブソンのフライングVのボディマテリアルはマホガニーです。

前述のコリーナ材は、希少な材のため使用できず、ギブソンに限らず今のフライングVはマホガニーが使われることがほとんどです。

 

ちなみに、ギブソンのレギュラーラインナップのフライングVの値段は14、5万円と、ギブソンにしては控えめなお値段です。

少し背伸びして、憧れのギブソンブランドを手に入れるのもありかもしれません。

メダリオンVって?

1958年の発表以来、さまざまな仕様が誕生したフライングVのなかには、『メダリオン』と呼ばれるレアなギターがあります。

1971年、翌年のミュンヘンオリンピックに向け、記念に350本限定で生産された、チェリーレッドカラーのフライングVのことを指します。

市場への流通数の少なさもあり、現在では高値で取引されています。

 

1958年の発売以降、一度生産がストップしたフライングVは、1967年に再生産が開始されました。

そのころの生産量は極少数でしたが、ギブソンが本腰を入れてフライングVの再生産を始めたのがこのメダリオンVです。

フライングVの歴史の中でも重要なギターであると言えます。

通常のフライングVとの違い

メダリオンの名の通り、ボディにメダルがはめ込まれていることが特徴です。

このメダルにはギブソンのロゴのほか、一本ずつその個体が何本目なのかを示すシリアルナンバーが刻まれています。

また、オリジナルのハードケースには、メダルと同じデザインが施されたメダル型のプレートが取り付けられていることも特徴です。

 

ちなみに、メダリオンは発売当時から日本での人気も高く、1974年にはグレコからコピーモデルが発売されました。

当時は定価9万円で販売されていましたが、いまオークションに出すと同じくらいの値段はつくようです。

本物もコピーモデルも希少価値がある珍しいギターです。

フライングVのカスタムショップって?

カスタムショップとは、ギブソンの中でも最上位のグレードを誇るブランドです。

正確にはギブソン・カスタムというブランド名になります。

厳選された良質な材と最新の技術を用いて、熟練のクラフトマンが製作しているのがカスタムショップのギターです。

カスタムショップでは、ショーへの出展を目的に製作されたものやシグネイチャーモデル、ヴィンテージギターを再現したモデルなどを主に製作しています。

フライングVの種類

カスタムショップ製のフライングVには、攻撃的なルックスをさらに研ぎ澄ませたようなステージ映えするモデルが存在します。

たとえば、2002年発売のレニー・クラヴィッツモデルは、ラメ入りのブラックボディにゴールドハードウェア、ミラーピックガード搭載と、ステージ映えを強く意識した一本に仕上げられています。

 

また、2017年モデルは、真っ赤な縁取りが施されたサテンフィニッシュの黒ボディに、ピックガードまで黒で統一というクールな仕様で発売されました。

 

気になるお値段は……50万円から!

 

さすがに初心者にはお高い値段です。

しかし、ミラーピックガードやさまざまなカラーのピックガードを販売しているところもあるようですので、カスタムショップ製のように奇抜なギターが欲しい方は、ピックガードの交換をおすすめします。

 

なお、ピックガードの相場は、メーカーや素材、カラーにもよりますが、5千円〜1万5千円ほどです。

フライングVをさらにパンチの効いたルックスに仕上げたい方は、ピックガードを着せ替えて自分だけの一本に仕上げてみてはいかがでしょうか?

友だちと差がつくギターならフライングV

フライングVは定番ギターの仲間入りを果たしてはいますが、レスポールやストラトキャスターほど普及していません。

定番ギターは必ず周りの人と被るので、フライングVは見た目で差を付けたい人におすすめです。

また、速弾きもしやすいネックなので、練習も捗ると思います。

見た目とテクニックで差をつけたい方は、楽器屋さんでフライングVを試しに持たせてもらいましょう。