浮遊感のあるフィードバック・ギターサウンドが魅力のシューゲイザー。

エフェクター好きなギタリストなら関心の高いジャンルではないでしょうか。

今回はシューゲイザーにおけるギターの音作りの基礎と、揃えるべきエフェクター一式を紹介します。

管理人の立ち位置

シューゲイザーの音作りを紹介する前に、簡単に管理人の自己紹介をさせてください。

今まで10年ほどシューゲイザーバンドをやっていました。

過去にLuminous Orange、CAUCUS、Ca-P、死んだ僕の彼女などのオープニングアクト・対バン経験があり、シューゲイザーに関して多少は知識があると思います。

 

今回取り上げるエフェクターは管理人が所有または試奏したものばかりです。

これまでに何十種類とエフェクターを購入したなかで、おすすめの機材を選びました。

※現在は空間系をほとんど使わないジャンルのバンドをやっているため、コーラスやディレイについてはかなりの懐古厨(90年代サウンド至上主義)ですがご了承ください。

音作り:エレキギター

シューゲイザーなコード感がわかったらいよいよ音作りです。

まずはシューゲイザーに使われるギターの種類と、その理由を見てみましょう。

ジャズマスターまたはジャガー

フェンダー(Fender)のジャズマスターまたはジャガーを使用するのが基本です。

ジャズマスターが基本の理由

マイ・ブラッディ・バレンタイン(my bloody valentine)のケヴィン・シールズやスワーヴドライヴァー(swervedriver)のアダム・フランクリンら、多くのシューゲイザーギタリストがジャズマスターを弾いていました。日本でもCAUCUSや死んだ僕の彼女など、ジャズマスターを愛用するバンドは少なくありません。

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シングルコイルであること

シューゲイザーの音作りは、シングルコイルの軽い音色であることがポイントです。

レスポールなどのハムバッカーだとどっしりとしたサウンドになるため、シューゲイザーの儚さのようなものがうまく表現できません。

したがって、フェンダーのギターであることが自然です。

フローティングトレモロを使えること

シューゲイザー独特の音程の揺れは、ジャズマスターやジャガーのフローティングトレモロによって表現できます。

この音の揺らぎがシューゲイザー独特のトリップ感を作ります。

たとえば、ストラトキャスターのトレモロアームでは音程の揺れが大きくなり、シューゲイザーの繊細でサイケデリックな音作りになりません。

ジャズマスターやジャガーならではのトレモロサウンドがポイントです。

音作り:歪みエフェクター

フィードバックノイズの混ざった轟音ギターは、シューゲイザーの醍醐味です。

その主役は、やはり歪みエフェクターです。

オーバードライブとファズに分けて、音作りのポイントを見てみましょう。

オーバードライブ

ザラザラしたクリーンサウンドやボーカルのバッキング・ギターなど、軽めのオーバードライブを踏んでいる可能性があります。

アンプ側でクランチサウンドを作ってもいいですが、他のエフェクターのノリやダイナミクスを考えると、オーバードライブを使うのがおすすめです。

シューゲイザーの音を作るオーバードライブのポイント

・歪みの粒が細かいこと

・ボリュームコントロールしやすいこと

・エフェクターのクセが強すぎないこと

Fulltone OCD

おすすめポイント

きらびやかで厚みのある歪みはオールジャンルで活躍します。クリーンブースターやアンプのクランチサウンドなど、シンプルで使い勝手のいいオーバードライブです。管理人は、HPでTone11時・Drive1時くらいにしています。

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BOSS BD-2

おすすめポイント

どの楽器屋さんでも購入できて、価格もリーズナブルです。ブルースやスタンダードなロックを想定したオーバードライブですが、そのソツのなさがシューゲイザーでも活躍します。管理人は、Tone2時、GAIN12時くらいで使っていました。少し大げさな音になるのが難点です。

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ファズ

シューゲイザーらしい暴力的な轟音ノイズを表現するなら、欠かせない歪みエフェクターがファズです。

ハイゲインな歪みが出るディストーションでもよいのですが、アナログな質感を追求する意味でファズを選びました。

シューゲイザーの音を作るファズのポイント

・トーン(tone)をコントロールできること

・歪みの量を調整できること

・足元に置いてかっこいいこと

Electro Harmonix Big Muff PI

おすすめポイント

シューゲイザーの代名詞的な存在。ノイズギターによるウォール・オブ・サウンド(音の壁)を作るためには欠かせません。多くのギタリストがリイシュー・ラムズヘッド・ロシアンマフなど、思い思いのビッグマフを足元に置いています。エフェクターボードに入れたときの見栄えを邪魔と取るか美しさと取るか、このあたりはギタリストの好みによるところでしょう。管理人は、Tone10時、SUSTAIN2時くらいで使っていました。

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Devi Ever Shoe Gazer

おすすめポイント

「シューゲイザー」というジャンル名を名前に冠するエフェクター。ブーミーな音作りに適しています。シューゲイザーを演奏するギタリストに使用していただきたいです。ちなみに、試奏動画はスワーヴドライヴァー『Duel』と、シューゲイザーへの愛情を感じます。

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音作り:空間系エフェクター

シューゲイザーバンドの特性が如実に表れるのは、実は歪みよりも空間系エフェクターです。

歪み系が主体ならディレイ+リバーブだけでもいいですが、空間系を多用するならコーラスやピッチシフターなども必要になります。

コーラス

スロウダイヴ(slowdive)やラッシュ(Lush)のようなツヤ感を求めるなら必須です。

シューゲイザー独特の陶酔感が演出できます。

モジュレーションディレイで似たような効果を出せたため、個人的にはあまり使っていませんでした。

シューゲイザーの音を作るコーラスのポイント

・かかりすぎるくらいがちょうどいい

・レトロサウンドが出るといい

BOSS CE-2

おすすめポイント

レトロなコーラスのかかりは90年代シューゲイザーライクなサウンド。ナンバーガール・田渕ひさ子氏も使っていました。ちなみに、コーラスのエフェクターはハマると沼ですが、曲の傾向によっては無用の長物になりえます。まずはBOSSを買って試すのがおすすめです。

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ELECTRO-HARMONIX Small Clone

おすすめポイント

グランジの代表格、ニルヴァーナ(NIRVANA)も使っていたコーラス。『Smells like teen spirit』のAメロのあの音です。こちらも90年代サウンドを堪能できます。人生で一回は使ってみて損のないエフェクターです。

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ディレイ・リバーブ

フィードバック・ノイズを出すという点において、全シューゲイザーバンド必須のエフェクター。

ショートディレイとロングディレイを組み合わせるなら2台は必要です。

シューゲイザーの醍醐味である浮遊感を演出します。

シューゲイザーの音を作るディレイのポイント

・ディレイタイムが柔軟に調整できるとおすすめ

・アナログディレイまたはトーンがいじれること

BOSS DM-2

おすすめポイント

自然なディレイサウンドが気持ちよく、シューゲイザー特有のまろやかな音作りができます。ベテラン世代のシューゲイザー系ギタリストは所有者も多いはず。1981年に発売された伝説のペダルです。

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BOSS DD-20

おすすめポイント

発売当初は話題になった大型ペダルのディレイです。4つのディレイをいつでも呼び出しできるため、ライブでの使い勝手も抜群。ディレイタイムを視覚的に設定したりモジュレーションの深さを変えられたりと、かなり柔軟な音作りができます。管理人は、modulateモードでdepth50・ratle45、timeは260ms、E.LEVELを1時、TONEを10時、F.BACKを11時前後にしていました。

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MXR Carbon Copy

おすすめポイント

まず黒い筐体+青いLEDがかっこいい。シンプルなアナログディレイですが、永久に聴き続けられるような陶酔感があります。発信もさせやすく、長らく使っていました。操作性も簡単なのでおすすめです。ウォール・オブ・サウンドな音作りができ、ノイズギターが壁のように聴こえます。管理人はMIX・DELAY10時、REGEN12時で使っていました。

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BOSS RV-3

おすすめポイント

BOSSが誇る名機。普通のリバーブだけでなく、ディレイ+リバーブモードもあり、古い機種ながらかなりマルチに活躍します。シンプルな操作性で使い勝手もよいです。

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音作り:ギターアンプ

スタジオやライブハウスに設置されているマーシャル(Marshall)・ジャズコーラス(JC-120)で、シューゲイザーをやるのに十分な音作りができます。

ただし、もう一歩踏み込むならギターアンプにもこだわりましょう。

シューゲイザーの音作りに必要なギターアンプ

・ハイゲインな歪みに対応できること

・クリーンの音色がきらびやかであること

Fender Deluxe Reverb

おすすめポイント

とにかく最高。フェンダーのギターとも相性がよく、伸びやかできらびやかなクリーンサウンドが堪能できます。さらに、エフェクターのノリもよく、ファズを踏んだときの暴力的なサウンドも好印象です。管理人はTREBLE・BASSともに10時くらいで使っていたと思います。

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シューゲイザー初心者が揃えるべき必須エフェクター一式

最後に、シューゲイザー初心者のギタリストが揃えるべき必須のエフェクターをまとめました。

まずは以下のエフェクターを揃えましょう。

 

オーバードライブ・・・Fulltone OCD

ファズ・・・Electro Harmonix Big muff Pi

コーラス・・・BOSS CE-2

ディレイ・・・MXR Carbon Copy

リバーブ・・・BOSS RV-3

 

総額5万円程度ですべて購入できます。

以上のエフェクターを揃えたらライブでも十分な音で演奏ができるはずです。

シューゲイザーなエフェクターを揃えたら考えること

シューゲイザーな音作りを考えるとき、実は大切なことはコード感です。

バンドによりますが、シンプルなパワーコードだけで独特の雰囲気は出ません。

普通のローコードやバレーコードでも不十分だと思います。

まずは曲作りやフレーズづくりを見直してみましょう。

メジャー7thやadd9コードを多用する

メジャー7thやadd9コードを多用しましょう。

シューゲイザーなギターのコツは不安定なコード感だからです。

3rdは使わない

3rdやマイナー3rdなど、調性がわかる音は足すべきではありません。

シューゲイザーの持つサイケデリックな世界観が出ないからです。

ベースもオンコードやベースリフにすると調性が失われるので、積極的に使いましょう。

リードギターのフレーズは小節の1拍目を工夫する

リードギターを作って演奏する場合、フレーズづくりでは小節の1拍目の音を工夫しましょう。

おすすめはそのコードのルートに対し、add9やメジャー7thを1音目に選ぶことです。

 

たとえば、スーパーカー『Greenage』(『スリーアウトチェンジ』収録)のギターリフを思い浮かべてください。

テンションコードになるため、パワーコードのギターとルートのベースなのに浮遊感を感じられるのです。

スリーアウトチェンジとは?

多数のフォロワーを生み出したオルタナティブ・ロックバンド、スーパーカーの1stアルバム。初期はシューゲイザーやグランジの影響を受けた楽曲が目立ちます。上記で紹介している『Greenage』は、ジーザス&メリーチェインにインスパイアされて作った1曲だそうです。

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コードとシューゲイザーの相性図表

管理人の経験から、「このコードがシューゲイザーと相性がよい」というものをまとめました。

コード 相性 理由
パワーコード 浮遊感は弱めですが調性も感じにくいのでよいでしょう。リードギターでテンションコード風に聴かせるとよいです。
メジャー7th シューゲイザー特有の切なさや浮遊感が出ます。大傑作のシューゲイザーコンピレーション・アルバム『Seven Winters』の帯にも「メジャー7thが好きだ」という旨が書かれていましたが、シューゲイザーならではのコード感です。
7th × シューゲイザーの父であるケヴィン・シールズはThe Velvet Undergroundを「初めて白人が作ったロック」として愛聴していたようです。しかし、7thコードはブラック・ミュージックのテイストが出るのでおすすめしません。明確な意図がない限りは避けたほうが無難でしょう。
9th 9thと言えばシューゲイザー御用達のコードです。3rdを抜いてトニックの9thコードを弾くと、トニックのadd9なのかドミナントコードのsus4なのかわからなくなり、独特のサイケデリックな世界観が表現できます。
sus4 コードの特性上、曲のキーのトニックに戻ろうとする性質があります。そこでトニックに戻してしまうと、普通の進行になってしまうため要注意です。個人的には、トニックのsus4コードからサブドミナントのコードに進行する手法を多用していました。
#11th サブドミナントの#11thは不協和音に近く、使い勝手がよいコードだと思います。エモ・ハードコアパンクにも通ずる不協和音ですが、斬新かつ不安定なコード感とシューゲイザーの相性はよいです。
13th シューゲイザー特有の切なさは出ますが、コードによってはマイナー調に聴こえて、浮遊感の面での物足りなさを感じるかもしれません。センスの試されるコードではないでしょうか。

ぜひ、これらを揃えてシューゲイザーを試してみてください。

 

なお、マイ・ブラッディ・バレンタインのケヴィン・シールズの機材もまとめました。

マイブラサウンドを追求したい人は以下のページをご覧ください。

My Bloody Valentine『Loveless』と機材・音作り