時々、ナンバーガールのボーカルは小さいという意見が見受けられます。

ボーカルが小さい理由は、『ナンバーガールが嫌いと言われる5つの原因』でご紹介した通りです。

ナンバーガールが嫌いと言われる5つの原因

今回は、ナンバーガールのボーカルのボリュームについてもう少し深掘りして考えてみました。

歌が下手なことの気恥ずかしさ

初期ナンバーガールのボーカルのバランスですが、向井秀徳氏は楽曲のミキシング時にボリュームを小さくするように頼んでいたと言います。

特に、インディーズ時代の『SCHOOL GIRL BYE BYE』やメジャーデビューアルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』は、極端にボーカルの声が小さいです。

その理由は、「歌が下手だから」というものでした。

また、ローファイな質感を好んだ向井氏の志向性もあると思います。

 

しかし、レコーディングはもちろん、ライブを見る限り極端に歌が下手というわけではないような感じもします。

 

当然、ボーカリスト1本で成功している人たちと比べたら見劣りしますが、ロックバンドなら十分な上手さではないでしょうか。

ここからは管理人の考える持論を展開します。

オルタナティブ・ロックとバンドサウンド

ナンバーガールのジャンルはオルタナティブ・ロックに該当します。

オルタナティブ・ロックと言ってもピンキリですが、楽器演奏を前面に押し出すバンドが多いです。

シンプルながらかっこいいギターリフやボーカルだけに頼らない楽曲の展開など、歌を前面に押し出すポップ・ミュージックとは一線を画しています。

向井秀徳氏の「歌が下手だから」という理由もあると思いますが、彼自身が聴いてきた音楽はボーカルばかりが主張しない音楽が多いはずです。

 

たとえば、向井氏が好きと公言しているペイル・セインツ(Pale Saints)や影響を受けたとみられるライド(Ride)は、ボーカルのボリュームが極端に小さいバンドでした。

この2バンドのジャンルはシューゲイザーにカテゴライズされますが、大きなくくりで言えばオルタナティブ・ロックの流れから誕生しています。

やはり、ギターのサウンドメイクを中心に楽器演奏を楽しむジャンルです。

 

ナンバーガールとシューゲイザーについて詳しくは以下の2記事をご覧ください。

水色革命とシューゲイザー

90年代の英国シューゲイザーバンドまとめ

ライブに使用されるSM57のマイク

ここまでだけお伝えすると、ナンバーガールはボーカルを聴かなくていいように感じるかもしれません。

しかし、ボーカルの聴こえ方にもこだわりがあることがわかります。

それが、向井氏がライブでSHURE-SM57のマイクを使っている点です。

一般的なボーカルマイクと言うと、先端の丸いマイク(SHURE-SM57)を連想する人が多いのではないでしょうか。

呼吸したときのノイズ(ブレスノイズ)が入らないようにウィンドシールドで処理されており、一般的にはボーカル向きのマイクと言われています。

ただし、しゃがれたボーカルの方や声量に自信がない方は、楽器用に開発されたSM57を使うケースが多いです。

SM57は筒状のマイクですが、ウィンドシールドがないため声がストレートに伝わります。

 

ナンバーガールは歌詞やボーカルを届けたくないわけではなく、ボーカルと楽器演奏がケンカできるバンドを目指しているのだと思います。

これがライブバンドとして活躍した理由ではないでしょうか。

楽器演奏をじっくり聴いてみよう

ナンバーガールの魅力は、ボーカルや歌詞の世界観だけにとどまりません。

アヒト・イナザワのドラム、田渕ひさ子の癖のあるリードギター、変則ダウンピッキングの荒々しい中尾憲太郎のベースなど、演奏技術だけ見ても聴きどころがたくさんあります。

ぜひ、「ボーカルが小さい」という点にこだわりすぎず、楽器演奏込でナンバーガールを楽しんでください。